サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

南極の氷に何がおきているか③ 棚氷の役目

 「南極の氷~」の続きです。杉山慎北大教授著(中公新書)の紹介・引用。
 地球温暖化の加速で最初に溶けやすい大きな氷は、山岳氷河。
  次は、グリーンランドの氷床。
   そして南極の西側の西南極の氷床。
    最後は、東南極の氷床。
 海水温の熱膨張も加わり、順次、海面上昇がつづく。
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 氷床2~3000メートルもある氷の塊が融ける場合、表面から融けるわけではない。
 主には氷河として海へ流れ下り、氷山となって(カービング)融けていく。図のように、雪が降って積もり圧縮され氷河となり流れるが、海に浮いた出っ張りとなり、これは棚氷と呼ばれる。
 この棚氷があるため氷河をせき止め流れを遅くしている。この広大な棚氷が、暖かい海水で融けて薄くなったりして脆弱になり崩壊し始めている。そうなると氷河の流れが速くなり海面上昇が早くなる。海からの水蒸気が雪となって加わる質量よりも、流れる氷河の質量が大きくなれば、差し引き、海面が上昇するのは当然の事だ。
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 南極の氷床は大きすぎて、海面上昇の割合からすれば、今のところ小さいが、だんだん大きくなって取り返しがつかない状態になる。
 しかも融解は、山岳氷河→ グリーランド→ 西南極→ 東南極へと連鎖する。
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 温暖化を止めないと2100年頃、南極だけで毎年7.5ミリも海面が上昇するそうだ。
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