サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

権力と新聞の大問題②

f:id:adayasu:20220131190504j:plain:left 先日のニューヨーク・タイムスのジェームズ・ライデン記者の話の続きです。
 ライデンさんは、米NSAが「ステラウィンド」というプログラムを使って、盗聴・メール監視を行っていることをつかみ記事にしようとしたとき、当時のブッシュ政権のライス大統領補佐官から「載せないでほしい」と、依頼された。
 ライス氏は、「この記事が出たら、米国人が殺されることになる。NSAがこの情報を得ることによって、たくさんの命が守られている。そういう捜査のためだけに監視しているのであって、捜査と無関係の一般人は対象にしていない」と。
 マーティンさんによれは、編集局では、激しい議論になり、掲載は見合わせ、引き続き調査を続けるようになったそうです。
 それでもブッシュ政権は、違法盗聴をやめなかったため、最終的にニューヨーク・タイムスは掲載の判断を下し、政権に通告したそうです。
 そしたら今度はブッシュ大統領本人が、ニューヨーク・タイムスのトップをホワイトハウスに呼んで、記事の差し止めを求めました。
 しかしニューヨーク・タイムスは、記事を掲載し、大問題に発展。
 政権側は情報源必死に突き止めようとし、ついに上提供者の元CIA職員もジェフリー・スターリング氏が逮捕され裁判になりました。これもNSAがビッグデータから割り出した結果でした。
 権力側を信用したら絶対にダメだという教訓ですね。
 彼ら権力は、はたくさんの行政の監視組織で合法、非合法で情報を集めており、誰よりも有利な立場にあります。市民だろうとメディアだろうと、騙そうと思えばいくらでも騙せる立場にある。
 .
 ここで大事なのは、内部通報者だ。
 この事件の場合も、CIA職員とは言いながらも、良心があり、正義のために勇気がある人がいるから良かった。スノーデン氏も同じだ。
 日本でも毎日新聞の記者が沖縄をめぐる密約問題で暴露した事件があったが、記者の西山氏も情報提供者も逮捕され、西山氏は1、2審は無罪だったが最高裁で有罪とされた。
 週刊新潮がことさらに事件を男女問題として取り上げ、政権が国民に隠して米国と密約をした重大な本質問題をそらす役割を果たした。
 また例のごとく、メディアが全体として、国民に不利益な事を隠した事件の本質論から、徹底的に政権側を批判し、真実を明らかにすることなく、記者や情報提供者を擁護することを放棄してしまった。ニューヨーク・タイムスなどと違い、日本のメディアは、主権者・国民の「知る権利」に応えるための闘う姿勢にかけているいわなければならない。
 そんな戦前からの積み重ねが、権力が何をやっても見逃されるような状態を作り上げ、今日に続いている。

ja.wikipedia.org