ル・モンド紙の記事がナルホドです。
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「環境を犠牲にするような経済成長はもう必要ない!」という声が一部の先進国からは聞こえ始めているが、フランスでは、進歩的な労働組合や政党が35時間労働をさらに短縮しようと試みている。
ワークシェアの実例や経済学者の証言をもとに、新しい価値観に注目し、従来とは異なる労働の在り方、生活様式を模索するヨーロッパの最新事情を引用・紹介する。[日本語版編集部](仏語版2021年6月号より)
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労働時間とエコロジカル・フットプリントが密接に関係しているとする学者もいる。
アメリカ人経済学者は「もしもアメリカの労働時間がEUの最初の加盟15カ国の平均と同程度だったら、消費エネルギーは18%削減できるだろう。反対に、EUがアメリカ人の労働時間を取り入れたら25%も消費エネルギーが増えるだろう。
2018年の別の研究では、次のようなことが示されている。アメリカでは、1%の労働時間の増加は0.65%から0.67%の追加的な温室効果ガスの排出に繋がる」と。
他に、労働時間を1%減らせば家庭部門での温室効果ガス排出量を0.8%削減できるというスウェーデンの研究論文もある。
リール大学の経済学者フランソワ・グザビエ・デヴテは、
「もし人々の自由時間が増えるなら環境面からみたエネルギー消費の程度はさらに弱まる。生産量を減らしそれと引換えに自由な時間を得ることで、従来とは異なる方法で満足感を創り出せる」とのべる。
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確かに、物はありあまるほどたくさん生産している。その生産のために誰かが、家族と食事する暇もないくらい働いている。自由な時間を削りながら。
マルクスがいう「自由の国」には、大幅な労働時間の短縮が不可欠だが、「必然の国」の必然である大量生産・消費・廃棄社会を転換し、「物質代謝の攪乱」(環境負荷)を減らす意味合いもある……。