憲法53条の規定にもとづき野党側が求めた臨時国会召集を、安倍政権が無視し続けている。
あまり大きな話題、ニュースにもならないが、これは主権者・国民にとって極めて重大問題だ。
そんななかで3年前にも同じよう、安倍政権は臨時国会開催要求を無視し、解散・総選挙の為の臨時国会は召集して即日、解散した。
これは正式な国会召集をサボった事、主権者が選んだ国会議員の首を首相・政権党の自民党が党利党略で切るという2重の憲法違反だった。
この憲法違反の党利党略の作戦が当たって、野党第一党の敵失もあったが、国民は安倍政権に衆院で2/3の勝利をもたらし、やりたい放題の政権運営の土台を作らせ今日に至っている。
先日、沖縄の4国会議員が国会審議の権利を妨げられたとして、国に損害賠償を求めた裁判の判決が那覇地裁(6/10)で下された。週間金曜日(8/14)での志田陽子武蔵野美術大学教授の解説がわかりやすいので紹介する。
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地裁の判決は「内閣は憲法53条後段に基づく要求を受けた場合、臨時国会を召集すべき憲法上の義務がある」と述べ、内閣の対応次第では違憲と判断される「余地はある」と述べた。
国は、苫米地訴訟の最高裁「統治行為論」を論拠に、召集時期について法的判断の対象にならないと主張したが、判決は議員内閣制の本質論から、むしろ「司法審査の対象とする必要性が高い」と述べた。当然の常識的な判断と思う。
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自民党が野党の時に、安倍晋三氏らが中心になってつくった憲法「改正」草案にも、判決と同じような趣旨で、要求のあった日から20日以内に臨時国会を召集しなければならないと明確に書いている。
野党の時は正当な事を主張しても、権力を握ったら権力維持のためには、なんでもしようとするーこれはどんな国や時代においても本質的な事だろう。
では国民、主権者は本質的にどうあるべきか?
3年前も今回も、こんな憲法無視を許さないこと。大きな世論と運動をまきおこし、政権党に憲法の趣旨を守らせること。メディアはその論陣を張ること。政権よりのメディアのあり方を問い、知る権利の立場で頑張っているジャーナリズムと共同すること。さらには司法の独立も後押しする。
今回、那覇地裁は、国会議員の利益は「国会議員の個人的な利益ではなく、国民全体のための利益なので、金銭賠償を定めた国賠法の制度趣旨に沿わない」として、国賠法の適用は行わず原告の請求を棄却した。
これは大きな問題をはらむ、と指摘する志田陽子氏。有権者がら託された、本来4年間ある国政調査権の国会議員の権利が奪われたのだから当然だ。
53条は、だいたい少数派が議論するために議会を開く規定であり、政権政党が多数決で法律をつくる意味とは違う。いまコロナ禍、経済と社会が低迷する非常事態にある。災害が多発する。そんな時に、国会を開き国民の命を生活を守るため智恵を出し合い議論をする事は当然の事だろう。
それぞれの立場から言って問題は、国民が主権者として、政府に憲法と主権者の意思を貫徹すべきという事だ。