サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

韓国大法院徴用工判決に思う➁

 内田雅敏弁護士の「韓国大法院徴用工判決に思う」の続きです。先日はドイツの150万人に補償したことを紹介しました。
 ところが日本でも、安倍政権の態度とは違う最高裁の判決が下されています。
朝鮮人と同じように、強制連行・労働された中国人の裁判に対する判決です。
 西松建設広島安野和解-04年広島高裁は「中国人受難者・遺族らからの請求を認容し、西松建設に受難者らに対し各金550万円の支払いを命じた。上告を受けた最高裁は「前記事実にかんがみて本件被害者らの被った精神的・肉体的苦痛は極めて大きなものであったと認められる」としながらも「中華人民共和国政府は日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」と72年の日中共同声明の立場から「裁判上の請求権を失った」として請求権を棄却している。同時に、請求権は国家による外交保護権であり個人の請求権は消滅していないとし、「なお、個別具体的な請求権について債務者側において、任意の自発的対応をすることは避けられないところ、本件被害者らの蒙(こうむ)った精神的・肉体的苦痛が極めて大きかった一方、上告人(西松建設)は前述したような勤務条件で中国人労働者らを強制労働に従事させて相応の利益を受け~~本件被害者らの被害救済に向けた努力をすることが期待されるところである」、加害者に甘い気もするが長い自民党政権下での最高裁官で、十分司法が独立していない状況下で、一歩前進とみるべきだろう。
西松建設は和解した。大事な事は、このあと。
実は、安芸太田町に「中国人受難之碑」と建立されたのだ。西松建設と中国人受難者・遺族、地元支援者らによって、強制労働の現地に加害と受難の歴史を記憶するために。
西松安野友好基金は、中国人受難者・遺族の方々を順次追悼式にお招きして町長らとも交流している。受難者・遺族らは、翌日には原爆資料館なども見学し、戦争の悲惨さを目のあたりにしている。
 中国人労働者らが工事にかかわった中部電力発電所が今も稼働していることを知った遺族は「父たちがつくった、この発電所を、末永く使ってほしい」と中部電力の担当者に話かけたという。
こんな活動こそ、「受難の碑」は、同時に「友好の碑」ともなり未来につながるのだろう。
残念ながら、こんな事はほとんどニュースとして知らされない。過去の支配者がそのまま、現在も、支配を続けているからに他ならない。
 最後に「受難者」は意味が分からない。「中国人強制連行・労働の碑」、そのものずばりでなぜいけないのか? まだまだ乗り越えるべき限界が横たわっている。