サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

安倍 寛

 「若し政治と云うものが国民生活の安定、大衆の幸福増進と云う事を意味するならば、現在の政治は決して良い政治と云う事は出来ないのであります。
 一度び目を世相に転じる時は、年と共に貧富の差が甚だしくなって行くために、立派な頭脳と健康な体力を持ちながら、働くにも職のない多数の失業者が居ります。
 働いても働いても生活の安定を得ざる労働者が充満して居ります。更に借金と公課に喘ぐ農村、薄給に泣く俸給生活者……大資本に圧迫されてまさに没落せむとする中小商工業者等々……世相は陰惨を極めて居る状態であります。
 凡(およ)そ世の中に何がみじめと云っても食えないと云う程の悲惨事はない、即ち非常時は是を遠方に求めなくても斯くの如く吾々の足元にうようよして居るのであります。
 彼等は口に種々な題目を唱えて居ますが、かうした大衆生活の極度の逼迫に対しては、何等適正なる対策を施さないのみか、近くは六九議会に於ける工場労働者保険法案を骨抜きにし、或いは今期議会に於ける国民健康保険法案を巡る流会騒ぎの如きは、国民大衆の利益は少しも考えない、財閥特権階級の御先棒である事を如実に物語るものであります。
 彼らはかうして国民大衆の利益を忘れ、徒(いたづら)に弄んだがために、遂に五・一五事件二・二六事件が突発して、完全にその無力を暴露したではありませんか」
 なかなか良い話でしょう。
 1937年の衆院選山口1区に立候補した安倍寛の選挙公約です。
 安倍晋三氏の父方のおじいさん・祖父のものです。
 「血は争えない」と言いますが、ずいぶん違いますね。
(安倍三代・青木理著)から引用。明日につづく。