今日が日ソ共同宣言60周年だそうで、各紙が特集を組んでいる。
安倍首相はプーチン大統領を山口県に招いて会談を開くそうだ。
そこで何らかの進展があり、その成果を宣伝し、1月の解散・総選挙へと進むのではないか、との観測がある。ありえる話…。
だが60年も70年間も解決しない領土問題、簡単に進むわけがない。せいぜい解散戦略の宣伝のため、一時的に期待を持たせるだけに違いない。
しかし各紙を読むと…私の認識からして「ン…?」と思わざるを得ない事が多い。
「2島返還」か「4島返還」か?に関心が終始している。
肝心の千島列島全体の返還の主張は除いてある。
①そもそもの出発点である、肝心の1945年ヤルタ会談について書いてあったのは3紙で、一カ所のみ。この会談で米英がソ連の対日参戦を求め、その代償に千島列島の獲得を約束したのに。
②その実行を日本は、サンフランシスコ条約の2条C項で千島放棄で宣言した。これを書いているのも別紙の一カ所のみ。
日本政府は千島列島の返還を主張できないので、新語の「北方領土」というコトバを作って、返せと主張。放棄しておいて返せは、国際的には全く通用しない。
③しかし一連の経過は、領土不拡大のカイロ宣言に違反する。領土不拡大の原則、これはどれも言及なし。
一連の経過や国際法の考え方を土台にすえない議論がずっと続いている。支配層のイデオロギー枠内に議論が押し込められているため、この問題は解決しそうもない。
尖閣にしろ竹島にしろ、この領土問題の構図は、米国が対日戦略として意図的につくった。(戦後史の正体:孫崎著)
①②③を通して、国際法に基づく道理ある提案――「日露領土交渉の行き詰まりをどう打開するか」を昨日発表し(ずっとしてきた)菅官房長官に申し入れした日本共産党の志位委員長。
もちろん、報道は皆無だ。
自民党よりも積極的な共産党の一連の考えは古くから発表されていて、本来なら右翼的な方々から歓迎されてしかるべきだが…そんな声は聞かれない。「北方領土…」でなく、「千島列島を返せ」の一点共同ができそうなのに。
戦前の戦争遂行勢力が反省もなしに戦後も日本を支配している矛盾が横たわっている。