サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

韓国軍兵士と枯葉剤

「飛行機からばら撒かれていたのが、そんなものとも知らず…。帰国して、3年、4年はなんの問題もなく、暮らしていたのが、そのうち痛みが出てくるようになった。ある日、はしごの上で突然気を失い…転げ落ちてしまった」
 こんな体験を語るのは、韓国軍ベトナム帰還兵の金泰根(キム テグン)さん74才。写真のようにベトナムに上陸した。
 飛行機が散布していたのは枯葉剤だった。金氏は「当時はそんなに恐ろしい薬だなんて、誰も思っていなかった。遠くの方で撒かれていたし…。だけど風で(私たちのいた所まで)漂ってきた。それを浴びた人はたくさんいる。彼らはその後、死んだ人の方が多いけど…」と語っている。
 彼がいた地域では、毎月4回から5回まかれていた。ゲリラが潜む密林を丸裸にし、現地の韓国軍の兵力損失をできるだけ防ぐためたった。
 韓国で枯葉剤の後遺症が認められるようになるのは20年後の1990年代に入ってからだ。
 米軍の兵士も同じだが、兵士らのやむにやまれぬ運動や裁判がなければ、政府も枯葉剤を作ったダウ・ケミカル社やモンサント社も責任を認めようとはしない。
 これは米軍の原爆兵士もそうだし、劣化ウラン弾を浴びたイラク帰還兵も同じた。派兵時は英雄扱い、しかし生き残り傷つき、悲惨な人生を送っている人が多い。
 一方的に枯葉剤をまかれ、今も、人にも国土にも後遺症が残るベトナムの人の怒りはいかほどか?
 米国は謝罪し、償ったのか? 戦争を支持し派兵した米国民の認識はどうか? 加害の歴史は清算されていない。だから繰り返している。
 他国民は攻撃するが、自国民はだます、権力がやる事だ。

 枯葉剤―まかれる予定だった日本、撒かれた沖縄↓