サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「存立事態」と「立法事実」

 安倍首相は、集団的自衛権を行使するとして自衛隊が行動する場合に、新しいコトバを製造するようだ。
 「他国に対する武力攻撃が発生」した場合に→「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」が生じれば、集団的自衛権の行使は可能と、安倍総理閣議決定した。
 で、「存立事態」だそうです。短絡ですね。これは「他国への攻撃」なので「他国の存立事態」であって、「日本の存立事態」ではないでしょう。

 その他国とは、核戦力を持ち通常戦力でも圧倒的な武力を実践配備する米国を指します。それは「米国の存立事態」ではなく、米国の圧倒的反撃を受ける、その国の実際的な「滅亡事態」となります。
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 第3国から米国への攻撃が→日本の存立を脅かす事態。ここには現実に全くありえない想定があります。「立法事実」はありません。あるとすれば、言葉を都合よくイメージさせる「ごまかし事実」だけです。これは日本語の解体です。
 法律をつくるには、実際にその必要性が存在しなけれななりません。(立法事実=「法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える一般的事実、すなわち社会的、経済的、政治的もしくは科学的事実」(芦部))

 憲法ができたとき、その前文と9条のとおり、日本に自衛隊は存在しなかった。
 日本が攻撃される場合があるので、そのために警察の予備隊→自衛隊の設立→武力の行使なしの海外展開→日本への攻撃がなくても自衛隊出動と、新しい解釈コトバで現実を変えてきました。
 同じ憲法下で、ここまで解釈を変えて法律をつくり部隊を動かすとなると、日本の言葉と日本人の同一性は地に落ちることになる。
そして被害者が生まれ、日本人は加害者になる可能性が十分にある。そんな恥ずかしいことはできない。