大本営参謀の情報戦記−掘英三著(文春文庫)を読んでいます。
この方、日本の陸軍の大本営の参謀・情報部だった人で、戦後は陸上自衛官で陸軍中佐、陸将補になった人。
裁判官は、権力におもねるやつばかりと思っていたら、袴田事件の熊本裁判官みたいな人がいたり、大飯原発訴訟の福井地裁の高貴な判決があったりです。思い込みはマズイということです。
この堀栄三という旧日本軍の参謀だった人も、戦争指導という点では責任は免れないけども、悩みながら理性を働かせた人がいたということは、知るべきと思う。
解説で保坂正康氏が書いている。2000人余の軍人に会ってきた経験から、将校には2つのタイプがあるとー。
ひとつは、謙虚に自ら体験だけを話し、その評価、価値判断は、聞き手や歴史家にゆだねるタイプで、理知派と呼ぶ。
もうひとつは、自らの体験をさりげなく国策と重ね合わせて、饒舌に、時に巧妙に弁明を重ねるタイプで、凡俗派と密かに呼ぶ。そして堀氏は、前者にあたるという。
堀氏は、1944年11月、台湾沖海戦で、海軍の戦果が誇張されていることに気づき、注意すべきと電報を大本営に送っていた。しかし大本営では、この電報はにぎりつぶされていた。ここに組織の中の個人のあり方がのひとつが示されていると思う。