犯罪的な本土決戦の構想
作家・保坂正康の「昭和のかたち」の見出し。(毎日8/10)
中身を読んで驚いた。引用・紹介したい。
先の戦争が8月で終わらず本土決戦が行われたら、どんなありさまだったろうか?
その内容は、なぜ明らかにされていないのか?と保坂氏は問う。
実は4月に、本土決戦の作戦準備が参謀本部作戦部長としての要綱がまとめられている。
「本土決戦」は「絶対絶命の一戦」であり、「戦法は航空全機特攻、水上、水中すべて特攻、戦車に対して特攻、地上戦闘だけが特攻を避けられよういわれはない」と書いている。
想像してみると、実に恐ろしい。誰が特攻を行うのか?…将兵ではない。
計画で、米軍は九十九里浜や相模原などに上陸してくると予想。
迎え撃つのは、国民義勇兵法によって徴兵された、男は15〜60才、女性は17〜40才の「にわか兵」だそうだ。
兵器は何か? 義勇軍に行き渡る武器はなく、弓矢、竹やりなどが含まれたいた。
作戦の実際は、その訓練内容が教えている。
「アメリカ軍の上陸地点から、戦車がぞくぞく日本本土に入ってくるときに、その道路に穴を掘っておき、そこに少年たちが爆薬を詰めたリュックサックなどを背負い隠れていて、通過のたびに飛び出て体当たりする」作戦だ。
「竹やりや鎌、包丁などを持った女性や老人がアメリカ兵の腹部を目ざして突き刺すとの模擬訓練が実際に行われていた」
大本営の幹部は「敵軍の一兵といえども生還させてはならない覚悟をもって、勝利に然らずんば死かの一念に徹しての差し違え戦法で戦え」と鼓舞していた。
訓練を受けた正規軍は、内陸部で待ち構え、決戦する計画。先に女子こども犠牲にする。呆れる、カッコ悪さ。
アメリカが考えていた本土上陸作戦は、上陸のその前に、「(日本の上空は)海兵隊の航空機によって覆い」つくす状態にして、全国の市町村に投下される爆弾は10万トンにおよび、すべて壊滅させる計画だった。
日本が起した先の戦争、原爆も投下され、最悪だと思っていたが、そうではなかった。さらに、沖縄の地上戦以上の壊滅的状態さえ、政府指導者は国民に強要しかねない状況だった。
まさに「海ゆかば」状態 歌詞をごらん下さい
本土決戦派の軍事指導部には、昭和天皇を幽閉し、内閣を監禁する計画もあったようだ。
このような戦争を始め、国民を強制的に動員して、他国も含めおびただしい犠牲者をつくりだし、最後は日本の国民も文化も伝統もなきもにしてもかまわないとする戦争指導者たち。
あまりにもずるく無責任ではないか。
しかし、そのような考えは、敗戦を機に途絶え、なくなっているのか? そうではない。
今日、自らとその関係者は戦地に行かず、人殺しもせず、それは他人に強要する、その思想は今日も生きている。
集団的自衛権の行使は、自国を攻撃していない他国への先制攻撃になる。同盟国への攻撃が、自国への攻撃と、みなすことはどう考えてできないのに。
やはり歴史の事実を知らないと。