サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

慰安婦問題を考える 「朝日」検証記事

 慰安婦問題について「朝日」が、5日、6日に検証記事を書いている。これに対し6日付けで「読売」も1面使って記事を書いている。読んで見たので感想を書いておきたい。
 大きな構図として
 日本軍が関わった慰安婦制度は、多くの人が関係したのに隠されていたこと、これが朝日の報道で広く世に知られたこと、屈辱を味わった被害者たちを救済すべききっかけなったこと、加害の側が、何をすべきか?を考える事になった。これは当然の事だろう。
 しかし吉田清治氏の済州島でのいわゆる「強制連行」の証言がウソだったこと、これはきわめて問題。朝日が制約があったとしても結果として、事実と違った報道をしたことそのものは問題だったこと、で今回、訂正したが、これはわかった時点でやるべきだったと思う。ちょっと遅い。
 慰安婦問題と言えば、秦郁彦氏と吉見義明氏の対決。二人のコメントの対比がやはり象徴的だ。
 秦氏は、慰安婦問題の主要な争点として、?「官憲による組織的、暴力的な強制連行の有無」、?「『性奴隷』と呼べるほど悲惨なものだったか」とする。
 で、2つともそれほどでもなかったので、日本に、あまり非はないという立場だろう。
 秦氏、?の概念を極めて狭く考える。強制連行、吉田虚偽証言に囚われすぎだろう。集める時だけの強制がなかったと騒いでいるだけだ。橋本市長の言い分
 女性を集めることから、移動や管理含めた長い過程に、軍の関与と強制性があったかどうかが問われている。端的に言えば、本人の意思に反して。
 であれば、?の性奴隷という表現は妥当性を持つ。私が読んだ慰安所を利用した元日本兵の本、その他の本もそんな印象だ。
 そして、中国や東南アジアでは、狭い意味の強制連行もあった。裁判でも事実は認定されている。
 「強制の有無は資料が見つからないからわからない」−罪を感じてない、加害の立場の人が言う言葉だ。当然、さまざまな資料は焼却された。敗戦を前にし、証拠が残れば、関係者は戦犯に問われるから。
 吉見氏はなかなか鋭い。
 朝日の検証記事について、「慰安婦問題の何が課題で、何をする必要があるのか、朝日新聞が考える解決策が見えてこないことだ。被害者に寄り添う姿勢が紙面からうかがえない
 これは、秦氏の批判の何倍も、朝日に突き刺さる指摘に思える。根本的には日本政府、日本国民に問われるものだ。
 「『未来指向』を語ることができるのは被害者であり、加害者は『忘れない』と言い続けるべき」は、米ワシントン大教授マイク・モチヅキさんの言葉。
 マイクさんは、米国は、戦時中に日本人を強制収容した事実を認め、大統領が署名した謝罪文と小切手を父親に届けた事を紹介している。
 その収容所は、国立公園極下で修復され、売店には強制収容の歴史を記した書籍が並んでいるという。記憶を風化させず、二度と同じ過ちを繰り返さないために。さすがアメリカ、というべきだろう。日本人が他国で、他国の人に行ったことに対して、事実をどう知り、どう対処するのか?、問われる。
 さらには、世界的な、これまでの、これからの、さまざまな戦時性暴力の問題が問われることになる。それが進歩だろう。
  国連人権最高代表「日本、今でも慰安婦の人権を蹂躪している」
 
秦VS吉見の議論を聞きたい方は↓ 勉強になります。