先日来の「地位協定入門」のつづきです。
問い④ イラクの米軍は、なぜ撤退できたの?
そうですよネぇ。なぜ?
ふり返れば…
イラクに米軍が侵攻したのは2003年3月20日⇒
5月にはブッシュ大統領が大規模戦闘の終結を宣言⇒
治安の悪化・戦闘が続き米軍駐留⇒
1010年8月にオバマ大統領が戦闘終結宣言⇒
2011年12月14日に完全撤収された。
日本は戦争に負けて68年たつのに、サ講和条約を結んで60年たつのに、米軍基地がなくならない。世界の七不思議のひとつ?です。
その点、イラクの人たちはホント偉いです。わずか8年で「さよなら米軍」ですから…。
あの米軍に対して、どんな方法で出て行ってもらったのか?…
前泊著の「地位協定入門」で紹介しています。
イラクは2008年に「イラク・アメリカ地位協定」を結んで、その中で2011年末までに完全撤退すると書き込んだそうです。
石油もある、イスラエルにも近くイランに隣接し、地理的にも大事な位置にあるイラクです。当然にも撤退前になるとアメリカ側から激しい圧力があったそうです。
しかしイラクの政府・交渉担当者は屈しなかった。日本でも、できないわけじゃない、やらないだけなんです。
2007年にはじまったイラクとアメリカの交渉で、アメリカが出した協定案に、イラク側は110ヵ所も修正を求めたようです。日米安保を結んだ日本の吉田なにがしとは、全く違いますね。
その修正案は主に5項目です。
①協定に米軍の撤退を明記する
②2011年を過ぎても米軍がイラクに駐留できると読めるあいまいな表現は削除する
元々、この地位協定が米軍の撤退を前提にしており、それをイラク側が譲りませんでした。占領は国連・安保理決議1483を根拠にし、「国際的に承認された代表政府イラク政府が国民により樹立され、責務が引き継がれるまで」とされていたからです。
日本が受諾したポツダム宣言にも「日本国民の自由な意思によって責任ある政府が誕生したら占領軍は撤退する」となっていた条項と同じです
③米軍の免責特権をめぐりイラク側の権限を強化する。
米兵や民間軍事会社社員の犯罪をイラクが裁く権利の主張を譲らなかったのが大きいようです。
どうやら米国は米兵(軍事会社)の犯罪が起こることを当然視している。米兵の犯罪が明らかになり起訴されれば、母国からの抗議も予想してか? 兵士の駐留が持たないと考えているようです。
その点、日本は密約で裁判権を放棄してくれている米兵犯罪天国です。しかも犯罪の賠償金は、日本政府が国民の税金で払ってくれている。こんな都合のいい駐留はありません、手放すはずがない。
こんなヒドイ実態が知らされていない。ごまかされている。日本を守ってくれているのでしかたがない…など。思わされている。
④⑤は明日に。