サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

エコノミック・ヒットマンとTPP

 エコノミック・ヒットマン。3/15日付けで動画を紹介しました。
 注文した本東洋経済新報社が届き、読み終えましたので、何回かに渡って紹介します。
 これは著者のジョン・パーキンス氏が自分がエコノミック・ヒットマンとして体験した、アメリカ帝国主義の赤裸々な真実を明らかにしました。
 良心の呵責にさいなまれながらも幾度となく筆をおりながら、しかし勇気を持って世に出した告白の本です。お勧めです。
 パーキンス氏は、「エコノミック・ヒットマンEHM)を「世界中の国々を騙して莫大な金をかすめとる、きわめて高収入の職業」で世界銀行や米国国際開発庁などの資金を、巨大企業の金庫や、天然資源の利権を牛耳っている裕福な一族の懐へと注ぎ込む」ため、不正な財務収支報告書や、選挙の裏工作、賄賂、脅しを行っていると解説しています。それらがうまくいかなければ、ジャッカル(暗殺者)が送り込まれる。それも失敗すれば軍隊が出動すると言う。
 また、モンサント、ゼネラルエレクトリック、ナイキ、ゼネラルモーターズウォルマートなど、「アメリカの立派な大企業は、アジア各地の低賃金長時間労働が人々を奴隷のように酷使している。石油会社は理不尽にも熱帯雨林の河川に有毒物質を流して人間や動植物を死に至らしめ、古代からつづいている先住民族の文化を破壊している。製薬会社はHIVウイルスに感染したアフリカの数百万人もの人々に生命をつなぐ薬剤を与えようとしない。わがアメリカ国内でも200万世帯もが、つぎの食事の心配をする生活をおくっている」と指摘する。
 こんな事も紹介している。世界の最も裕福な国々にすむ上位1/5の層と、もっとも貧しい国々に住む下位1/5の所得を比較すると、「1960年には30対1だったが、1995年には74対1まで格差が広がった」「アメリカはイラク戦争に870億ドルを費やしたが、その半分以下の金額でこの地球上の全人類に清潔な水と十分な食料と公衆衛生設備を与え、必要最低限の教育を施すことができる、と国連は見積もっている」と。
 彼は民間のメイン社の一員としてアジアや中東、中南米の各国で活動した。
 もう一度動画をごらん下さい。
 米国による日本へのTPP参加の押しつけも、そんな米多国籍企業のロビー活動とEHM暗躍の現われと想像する。
 なにせISD条項は、投資家や企業が国家を訴えて、国家主権を飛び越えて、利益を確保できるというものだ。審判は世界銀行下で、多国籍企業の顧問弁護士らが行うようになるらしい。強欲資本主義。