サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

ラダック “懐かしの未来” ④開発

 ラダックものは、とりあえず今回は、これで最後に。でもこれは永遠のテーマになりそう。
 読めば読むほど、開発や物質文明の未来に不安感が増すのに、かといって昔にもどるわけにもいかないジレンマをひたすら感じています。
 子どもの頃を思い出すだびに、モノがなくても時間があって、野山を駆け巡って遊んだ時代が懐かしく、とても良かった時代だったと思う。
 ヘレナは書いている。最初に訪れたラダック。「人びとの欲望のなさに驚かされた」「人びとは単なる利益のために、とりわけ余暇や楽しみを犠牲にすることには関心がなかった。当時、いくらお金を出すといっても人びとが交換に応じないので、旅行客は困惑していた。ところが、数年後には「開発」を経験した結果として、金儲けに熱中するようになった。新しい欲求はつくられたのである」
 「ラダックの人びとは伝統的に、身近で得られる資源をおどろくような知恵と技術によって利用しし、快適でうらやましいほど安全な生活を実現していた。自分たちの持っているもので満たされていた。だが今では、持っているものだけでは十分とは言えなくなった」
  「開発の波がラダックに押し寄せてから16年ぐらいのあいだに、貧富の差は拡大し、女性は自信と力を失った。失業とインフラが出現し、犯罪が激増し、さまざまな経済的、心理的要因に刺激されたために、人口は急増した。家族や共同体の絆が緩み、自給自足から徐々に外部の世界に依存する経済に変わるにつて、人びとは土地から切り離されていった」
「技術進歩と経済的成長を通じて生活水準を引き上げることになったが、生活をよくした部分よりは、悪くしたほうが多いように思える。欲望をつくり出すことが、この大きな変化の重要な部分であると気づいた。」
 「開発は、貨幣経済の導入が常に改善をもたらすという前提で進められる」「自分たちの食物、衣服、住まいを自分たちで作る能力のある人びとにとってみれば、自らの文化と自立性を放棄し、不安定な貨幣収入に依存することは、生活の質の大幅な低下となる」

 現在の日本。生活の質の低下は著しい。貧困と格差のひろがり。家族がそろって、三度三度の食事ができない。うつなどの心労、自殺の増大。過度な競争社会。自分や家族への肯定感が薄弱で、実際に幸せではないと感じている人が多い。いつも明日の心配をしなければならない。過去の良さを未来の良さの調和。“懐かしの未来”は来るのか? 可能か?

 ちぃちゃんの夏休み日記は↓、実現すべき“サスティナビリティな未来社会”を想い起こさせる“懐かしき時代”です。表題に『絵』が抜けました。ゴメンナサイ)
 ちいちゃんの夏休み絵日記② 対談 
「幸せな子ども時代が人生を豊かにする」トーク