サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

ラダック“懐かしの未来”②

 92年のリオサミットは、地球環境問題で「持続可能」な開発を打ち出した重要な国際会議だった。私も通説にしがたい、「持続可能」の言葉を前進的と評価をしていた。
 ガイア理論のJ・ラブロックは、この「持続可能な、『開発』」について批判的だ。
 必要なのは「持続可能な『撤退』」だ。行き過ぎた地点から持続可能地点への撤退が必要と、私もこの考えに賛成する。
 ヘレナ・ノーバーグ・ホッジもに通例と違う見解を示し、私が知らなかった事を提起した。それは「リオ環境サミットは、
 ①巨大企業による財政支援を得て開催された」と言うものだ。
 これまで環境問題や再生可能エネルギーの提案は、政府からではなく、草の根の運動の側から、大企業に対して行われてきた。大企業を環境運動の中に向かえ入れることになって、大企業が引き起こしている問題の責任が不明確になり、背後で動かしている経済的な仕組みが見えなくなっていると指摘する。
 ②グローバル化の時代。経済発展のプロセス。農業・農村から工業・都市へと追いやられ、大企業のため主に輸出のためにインフラを整備するのが政府の役目となり、経済発展に内在しているのは、専門化と国家間の分業。
 それぞれの地域で生産するのを専門化し、他のものは他の地域から買う。税制上の優遇を受ける。安価な労働力を求め、自国の労働者の賃金も、それとの競争でおし下げる。失業の問題も。グローバル化にともなう輸送コストはエネルギーを浪費する。
 ③これまで、自由貿易の発展が、第三世界の貧困をなくすを主張してきた。
 リオの環境サミットの北の環境運動へのメッセーは、『南の国々にとって重要なのは成長と開発だ。だから南に北の環境運動の基準をおしつけない』というものだったとヘレナは言う。
 「第三世界の成長の権利を邪魔してはいけない」と。エネルギーと消費の分離、温暖化が進む。 テムズ川ハドソン川がきれいになったと喜んでいるが、それを汚していた工場が遠く第三世界に移っただけ。
 ヘレナが一番言いたいのは、ローカル。食料も製品も可能な限り、その場その地域で生産し、消費する経済に変えるべきだということ。
 地球をまたぎ、物も人も金も過剰に行き来する経済社会に人類の未来も幸福もないとする。私も賛成。現実にどうするかは、簡単にいかず、悩みが多い。
 成長の限界、地球の規模と人類社会の規模。限界点は突破し、行き過ぎていしまったので、急いで引き返す事が必要、これが私の今の考え。J・ラブロックが言うように。