人類が経済「成長」を続けるため資源を使い続ければ、やがて資源が枯渇する。伸び続けてきた石油の生産量が減り始める時点を「ピークオイル」と言うが、当初の警告からすればその時期はだんだんと遅れきている。技術の発達で、海底、さらに地下深く数千メートルも掘り進んで石油を掘り出しているからだ。更にはタールサンド(砂にしみ込んだ石油)も開発しようとしている。例のメキシコ湾の史上最悪の石油流出事故も海面下1500メートル、更に海底から地下へ2500メートルも掘った油田だった。技術が進めば「ピークオイル」も多少なりとも遅らすことは可能だ。事故による汚染の可能性は、はらみつつも。
問題の「ピーク」は、廃棄物だ。「成長の限界」は、そのことも指摘していた。現代の最大の廃棄物問題は、温室効果ガス、特にCO2。燃やすこと、排出はタダだったので…。
石油も更には石炭も、まだまだ掘り出すことは可能だろう。しかし燃やした廃棄物のCO2を吸収してくれている熱帯雨林は伐採がつづくし、中心的な吸収源の海は「吸収のピーク」を迎える。
このまま廃棄しつづけると大気にも溜まるが、地球を取りまく海は、やがて酸性化する。プランクトンは殻を作れない。サンゴや貝類は溶け出す。海水温の上昇と共に、海はCO2の排出源に変わる。室温のサイダーのように。フィードバックが繰り返される。海底下のメタンが融け出すまで。(メタンの温室効果はCO2の約20倍)