ヒロシマ・ナガサキが終わり、8・15も終わった。4年前に書いた熊本民報の「火の国」を紹介します。
「戦争と平和の季節」-8月が終わって、9月から戦争を振り返るのも悪くない。何故なら、国際標準として戦争が終結したのは、戦艦ミズーリで日本が降伏文書に調印した9月2日だからだ。8月15日に戦争が終わったとされる理由は?
ポツダム宣言の受諾の日付、「終戦の詔書」の日付は8月14日、天皇の録音も14日、最後の現人神が、ラジオで一方的に、都合よく、告げたのが15日だっただけだ。ここに、戦争の終わりの記憶の「内外格差」が始まり、今に続いている。
戦争の始まりの日付けは、日米とも格差なしの12月8日(ハワイ時間は7日)。しかし、日本人の開戦と終戦の「記憶格差」は深刻だ。NHKの世論調査(2000年)では、終戦記念日の正解率は91%なのに、悲劇の始まり、日米開戦日の記憶は36%に留まっている。「リメンバー・パールハーバー」として、忘れられない日となっているアメリカ人との「記憶格差」も歴然だ。
7月28日の日本軍の南部仏印(ベトナム)への進駐、8月1日の米国の対日石油輸出禁止以降、真珠湾攻撃までの間は、戦争回避への様々な外交交渉をよそに、何かに引っ張られるように開戦へ急いだ。
戦争と平和の季節-8月の記憶は、12月まで継続させ、戦争責任の真の歴史認識を取り戻す時期にすべきだろう。(佐藤卓巳著・「メディア社会」を参考) 06/9/17・熊本民報「火の国」