長崎、広島を訪れ、国連事務総長としてはじめて、被爆者の声に耳を傾け、核兵器の廃絶を正面から訴えた潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、たいへんえらいと思う。核廃絶の運動も長くやっているが、現実がなかなか進まない中で、ここまではきた、という感慨を持てる。ルース駐日大使の参列も含め。
潘さんは、韓国出身としては、実に複雑な立場にもあると思う。日本から侵略を受けた、韓国、北朝鮮、アジア各国の人々からは、「原爆投下が侵略戦争を早く終わらせた」「侵略国の当然の報いだ…」の声も強く聞いているだろうに、そんな顔色ひとつ見せなかった潘さん。しかし日本の報道で、この点をあまり見かけなかった事は極めて残念だ。おりしも今年は、韓国併合100年の年だ。
戦争には、被害もあれば加害もある。個人対個人では、お詫びと償いで事を許す関係となる。しかし国家対国家の中での個人-国民は、その関係性の認識が希薄になる気がする。日本においては、加害を忘れ、被害のみを強調しているのではないか?ギモンにも思う。世代は代わった。「2度と繰り返さないように」が大事だ。が、その前に何が行われたか?知るべきだろううし、知らせるべきだろう。
これから8・15日までに、日本の、国民の、加害の責任がより鮮明にされる事が、潘さんの思いに応える道であると思うし、核兵器廃絶の運動を広げるためにもなると思う。