サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

持続可能な社会の考察

  200万都市が有機野菜を自給

 タイトルのとおり、キューバの首都ハバナ--「200万人の都市住民の有機野菜で自給できるわけ」―02年の本だが⇒最近読んだ。
 食料危機に遭遇すると、飢えや餓死者続出となりがちだが、こんな選択もあるのかと感心する。
 キューバアメリカからの経済封鎖を受けているのはご承知のとおり。80年代まで旧ソ連にサトウキビを砂糖を高く買ってもらい、安い石油などを輸入して医療、福祉、教育を充実させていたが、そのソ連が崩壊。たちまち食料危機にみまわれる。石油がなければ、トラクターもトラックも動かない。肥料もなければ農薬もない。さてどうする?まわりを耕し野菜を植えるしかない。肥料がなければ「ミミズ堆肥」の有機栽培の野菜を多く食べ、ガソリンがなければ移動は車から自転車へ。医薬品が乏しければ薬草に頼るしかない。余儀なくされながらも、健康的な食生活とライフスタイルへ。加えてNPO他、地域コミュニティが発達。貧しさは相変わらずのようだが、ホームレスはいないようだし、のんびり陽気にくらしている。経済大国でありながら、年越し「ハケン村」の日本とは大違い。

 東京など大都市はもちろん、わが熊本市だって地球の裏側から食料をCO2まきながら食材を運んできている。しかも廃棄が少なくない。気候変動による砂漠化などにより、農産物(魚介類)がとれなくなったらどうなるか? 
 キューバは島国、日本も島国、そして世界も島地球、限界ありの循環的閉鎖系。大気の構成を変え、氷を融かしアルベドを変え、海まで酸性化しようとしている今の人類社会、取るべき選択肢の一つに、キューバの経験は参考になる。

  幾何学的成長の恐怖1枚の紙を60回重ね折りしたらどれぐらいの高さに?
1枚の紙を2つに折り、それを更に2つにと倍々に、手際よく1秒ごとに折り重ねていったとしたら、1分間でどれぐらいの高さになるでしょうか?▼1万年以上前、農業革命以前の狩猟で食えた人類は推定500万人、産業革命以前の農業で食えた人口は約6億人、現在は67億人。この100年間に4倍に増え、経済も資源の浪費も汚染物質の排出も幾何学的成長をつづけている人類。このままでは限界を超え破局がくると警告し、新しい人類社会への選択-「持続可能性革命」を提案する-「成長の限界-人類の選択」に出会い衝撃を受けている。最初の本「成長の限界」は72年に、「限界を超えて」は92年に出版されており、36年間も知らなかった自分を恥ながら、誰も教えてくれなかったことを恨みたい気分だ。行きづまりは、自然の供給力-資源の枯渇や食料生産の限界か、自然の吸収力―を上回る汚染の増大かの何れかで限界に達するとシュミレーション。現実は汚染の増大-CO2排出・温暖化問題に直面している▼成長一辺倒から、地球も多様な生物種も人類も、持続可能な発展へと、何とか耐えられる揺れうちに移行できることを望んでやまない。生物種の行き過ぎは天敵が抑制し、守ってくれる。科学技術を駆使して、無限の欲望のために大気の組成を変えるほどに地球規模で活動する人類に天敵はいない。解決策はあるのか?対処への時間はないが経験はある。オゾン破壊はフロンの規制で乗り越えつつある。CO2はじめ汚染物質を排出する工業と農・漁業と消費社会には、規制とコスト(外部費用)をかけ、CO2を吸収して酸素を供給し、水、土壌を守る農・林業には正当な価値をつける。地球システム(ガイヤ理論)の理解、限界を知り自らをコントロールできる人類へシステム構築。地球規模の貧困と格差の是正、政治・経済と情報の真の民主化…▼(最初の問いの答え=地球と太陽(1.5億km)の192往復。43秒で月まで到達。エクセルで計算しました。信じられないなら、ぜひやってみて下さい)

 孤島のトナカイの悲劇
   地球の人類の悲劇は回避できるか?
 最近あちこちで目にする安易な言葉-「持続可能な○○」の考察。第2次世界大戦末期1944年、ベーリング海の孤島セントマシュー島に米沿岸警備隊が食料用に放ったトナカイは29頭だった。戦争が終わり警備隊が引上げたのち、トナカイは表土を覆っていたコケを食べ繁殖していった。57年に生物学者デビィッド・クラインが調べたところトナカイは1350頭に増え、63年には6000頭を超えていた。しかし3年後の66年にはメス41頭、オス1頭に激減、子トナカイはいなかった。80年には1頭も残らず島は無数の白骨で覆われていた。絶滅に至る数年、飢えた雄、雌、子トナカイ数千頭は、僅かなコケを求めて、どんな奪いあいになったか想像に難くない。強いトナカイは最後まで争いに勝っただろうが種は残せなかった。食べることと繁殖することしか授けられていないトナカイには、避妊具もなければ産児制限の思いもよらない。人間が食料として定期的に間引きしてくれるか、狼か何か適当な天敵が放たれることが必要だったかも…。さて人類、67億の人口は、毎年8000万人づつ増え、40年後には90億を超えると予想される。はたして地球上に何人なら、持続可能なのだろうか?。食物連鎖の第一次生産は光合成植物だが、その地球上の全生産の40%以上を人類が支配下に置き、陸上の脊椎動物の総体重で、人間に由来するも(人間/ペット/家畜類)が占めるは割合は9割を超えるとの恐るべき試算がある。人類のエコロジカル・フット・プリントは地球1個分をはるかに超えて、今も増え続けている。投機による原油、資源、食料の高騰は強者への規制で解決すべし。しかしやがて訪れる本格的な不足時代への対処法を「地球あっての人類」として急がないとトナカイと同じ道を歩むことに…。欲望から解放されるための人類の知恵がためされる。


   コモンズの悲劇

 クイズです。世界の人口は約63億人(200?年)、うち裕福な先進国の2割の12億人が使っているエネルギーは全体の何%?。1人の人間が消費するための生産に必要なものを土地に換算すると、日本人は、平均6㌶、アメリカ人では何㌶?。世界平均で何㌶?。そしてすべての人が先進国並みの消費をすると地球だけでは足りなくなる。あと何個地球が必要?。地球の全陸地面積を人類の数で割ったら何㌶?。人類は20世紀の100年間で4倍に増えた。現在の農業生産で食べられる人類は何億人?。一方、アフリカでは飢餓で毎年○万人?が亡くなっている。
 「共有地の悲劇」という言葉がある。みんなが使える共有の土地があり、ある羊飼いがそこで羊を飼い裕福になる。それを見た多くの羊飼いたちがその土地で羊を飼う。そうなると土地は荒れ果てる。しかし土地が荒れた損失は、みんなが持つ事になり薄められる。個々の羊飼いとしては、それでも羊を増やしたほうが得だと羊を増やす。結果、取り返しのつかない悲劇が待ち受けるという話。温暖化を初めとする地球環境の破壊をこのまま進めるなら数十億規模で人類の淘汰を招くだろう。今や人類が試されている。地球システムの維持のため、大気、水、土など「共有地」の回復が必要。
 知恵はある。人類が獲得した民主主義を今こそ使って各国政府の態度を変えさせる時だ。まずは日本。(クイズの答えはウラ面)<クイズの答え>順番に-86%/9.6㌶/2.1㌶/3個/2.5㌶/約80億人/約500万人(池内了著・「ネイチャーは警告する?」より)07/7/12