サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

“夕日とCOP15”

 天草市下浦から見た下島に沈む夕日です。キレイです。

 しかしこの地形がこのまま続くかどうかはわかりません。海岸線は、海水面の上下で変化するからです。2万年ほど前の氷河期の海岸線は、数十メートルも下の方で、この辺は野原か林だったはずです。また北極、南極の氷が融けたほど暖かった時期には、海岸線は100メートル近くも上で、この辺は海の底だったはずです。

 こういった変化は、短くても数万年、数十万円や数千万年かけておこったもので、多くの生物は適応可能でした。人類は、これをわずか数百年で起こそうとしている。これでは多くの生態はついていけず、絶滅するしかありません。
 地球を冷やすために大気中からCO2を取込んで地中に固定化したのに、人類は自らの欲望のために、せっせと元の大気中に戻している。

 それがわかってきたのに止められない状態。

 1人なら、害悪がわかっているなら自分で決めて止められる。家族なら話し合って止められるだろう。小さな村や町なら、村民集会、町民大会を開いて、意見を一致させて止める行動に出られるだろう。しかしあまりにも利害関係が入り組み、歴史的にも責任関係が複雑な人類的な課題(COP15の状況を見るにつけ思う)。しかし、理解しあい行動しあえば、人類共通の利益と生存につながる課題、ここをいかに共通認識にするかである。

 試される人類。可能性は十分ある。しかし時間は、ほとんどない。

 “市場の失敗"CO2-「経済の外部性」-エコロジカル・フットプリント
 荒瀬ダムの撤去めぐる財政負担問題、川辺川ダムや諫早湾干拓をめぐる「費用対効果」論は「市場の失敗」を物語る。経済には「外部性」があり、そのプラス作用とマイナス作用は通常、市場に反映されない。荒れた山に植林し、里山の手入れを行なっても木材価格は低く林業は満足に成り立たない。しかしその仕事には、治山治水の役割と共に、川と海に栄養分が行き渡り魚が多くとれる副産物がある。それは木材を売る価格に反映されない。逆に、ダムをつくったり、干潟をなくしたりすれば、魚がとれないなど生態系に大きな影響を与えるが、これは事業のコストに反映されない。「エコロジカル・フットプリント」や「フード・マイレージ」など環境負荷の単位が生み出されたように、ダムや干拓の負荷額も一般化が急がれる。
 高騰したガソリンがウソのように安くなった。個人的にはリッター200円でもOKと思っていた。道路特定財源をハズし温暖化負荷の炭素税を油価の3〜4倍かけてこそ生態系市場では等価(?)と思うからだ。微生物の数千万年、数億年に及ぶ大気からの炭素固定化を、わずか数百年で大気中に放り出す人類の愚行。大量排出すれば温暖化暴走が数百年、数千年つづくだろう汚染物質、CO2排出タダの時代は過ぎた。
 直面する人類の課題-恐慌、貧困、資源、戦争。それらも含む、全体として行き過ぎた人類の内部活動は、外部の生態系と地球システムが、持続的に受容できるレベルに、大転換することが必要だ。解決には何が必要なのだろうか?。COP14によせて。(08年12月21日)

   絶滅危惧種⇒人類
 忘れものをしたら取りに帰れる。間違ってしまったら訂正できる。人生もやり直しがきくだろう。しかし人類は今、やり直しのきかない課題に直面している。地球温暖化のティッピング・ポイント、ここを過ぎると温暖化は、もはや誰にも止められない。
 氷河や北極海の海氷が融けて反射していた太陽光を吸収している。ツンドラ地帯では永久凍土が融けCO2の約20倍の温室効果を持つメタンガスを噴出している。シベリアのタイガや熱帯雨林が枯れてCO2を排出する。CO2を吸収していた海は、水温上昇と共に排出、やがて海底に眠るメタンハイドレートからメタンがボコボコと大気中に放出される。それらの複合的などこかの段階で温暖化と温暖化ガス排出の悪循環が連鎖反応的に暴走する。全球温度は6度もあがり大半の生物種が死滅する。人類こそ絶滅危惧種となり、局地に近いところで僅かに生き残れるかどうか。この状態が数百年数千年とつづく。
 米国の環境シンクタンクの最新(06年)のデータによればCO2排出は過去最大でIPCCの予測増加率の最悪のケース2・3%を超える3・1%になった。もはや絶望的と言っていい。
 このような科学的な知見、科学者の度重なる重大な警告に我々はひれ伏し、地球が受け入れられる生産と消費、経済・社会へと移行するしか生き延びるすべはない。複雑な利害は「持続可能」な大きな利益のために調整を図るべきだ。
 日本は12年後の20年には、排出量を90年比半減、更に30年後の50年に80%減らし自らの責任を果たすべきだ。政治の責任は大きい。だからこそ主権者の認識も選択も行動も極めて責任重大だ。北・西欧に大きく遅れている日本の最大の問題は、大企業・財界が自らの長期的利益を理解せず、この課題に抵抗していることだ。また政治もメディアもこのスポンサーに追従している。ここにメスを入れられる党を大きく伸ばすことが大事だ。