ドーナツ経済--先日のニュートンのつづきです。
1720年、「南海会社」(南米の植民地との貿易の独占権を与えられていた英国の会社)の事業が成功を収めたという間違ったうわさをきっかけに、株価が急激に上がり始めた。
すでにその株式をいくらか保有していたニュートンは、4月、株式を売却して大きな利益を得た。
しかし株式の上昇はその後も続き、国全体が熱狂に包まれると、市場の誘惑にあらがうのがむずかしくなった。6月ニュートンはかなり高騰していた株式を購入した。
それはバブルがピークに達して崩壊するわずか2ヵ月前だった。その結果、それまでの長年の蓄えは一挙に失われた。
「天体の動きは計算できても、人間の狂気は計算できない」とニュートンは語ったとされる。
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バブルの崩壊は、日本でもあったし、米国のリーマンショックが世界に及ぼした記憶も新しい。
隆盛を誇った文明ですら、どこかの時点で行き詰まり崩壊している。
21世紀の現代は、地球環境破壊と社会的不平等の拡大でティッピングポイントに向かいつつある。
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いまから50年前の1972年、ローマクラブが「成長の限界」という報告書をまとめた。
経済成長を左右し、最終的には限界に至らせる要因として、
人口、農業生産、自然資源、工業生産、汚染の5つで、シュミレーション「ワールド3」を考案した。
世界人口と生産の拡大によって、石油や鉱物や金属などの資源が枯渇し、やがて工業生産と食料生産が減りはじめ、最終的には、飢饉、大幅な人口減少、全世界的な生活水準の著しい低下が招かれると予測した。
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あれから50年。資源の枯渇には至っていないが、汚染物質の排出が止まらず、温室効果ガスの排出によって気候変動がはじまり、パキスタンの大洪水や各地の森林火災が記録的な規模で進行している。
他にも海洋酸性化、土地の改変、生物種の絶滅、マイクロプラなど化学物質の排出なども、危機的状態に向かっている。
資源の採取は労働をともないコストなるが、廃棄(CO₂など汚染物質)は、タダなので抑制が効かない。
結果、現在の地球環境問題を引き起こしていて、危機は叫ばれ、国際会議が開かれつつも、効果ある対策が打たれずムダに時間を消費している。
つまりこれまでの経済、人間活動全体と自然の関係が考慮されていない。
①環境再生的な経済→→地球環境の許容限界内で繁栄を遂げられるよう、人間が地球の生命サイクルの一員としての務めを果たすこと。
②分配的な経済→→→生み出された価値がほんのひと握りの人々のもとに集まるのではなく、広く行き渡り、人々のあいだに循環するよう設計された経済。
加藤登紀子と斎藤幸平対談
加藤登紀子さんと斎藤幸平さんの対談動画がとてもおもしろかった。
ぜひご視聴下さい。
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加藤さんの話、はじめて聞く内容も多かった。かなり学び、知っている。
「紅の豚」の歌、「さくらんぼの実る頃」がパリコミューンと関係していたんだと。知らなかった。
ロバート・ケネディの演説の話も知らなかった。
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国葬、右翼も反対
安部氏の国葬に民族派右翼が反対している。
デモ・タイムスの動画で、一水会の木村三浩さんの話が納得。
聞いた話では、私の考えと8割がた一致する。
親米右翼、ポチ保守とは全く違い、本当に安保条約に反対し、日本の真の独立を考えている。
木村さん。国葬にハリス米副大統領が来るが日本のどこに着陸するか?
米軍基地の羽田や成田から来るのか、横田からに来るか、と日米地位協定の問題点をズバリ指摘する。
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しかし、これは知らなかった。右翼さんから教えてもらうなんて、学習不足。
プロジェクト・フラ
北方領土(千島)問題。
ヤルタ協定を経て、千島列島をソ連軍が占領した時の事。
実は米国は、ソ連軍が千島占領を支援するため、米国の上陸用舟艇など145隻もの艦船を無償でソ連に貸し与え、しかもその訓練をアラスカで受けさせていたという事実だ。
大手新聞には、一切報道されていない。
なるほどね~。
アメリカはそこまでして、ヤルタ秘密協定の千島列島ソ連割譲を支援・協力していた。
その流れでサ条約2条C項の千島列島放棄条項がある。
自民党も保守論壇も「北方領土を返せ」と叫ぶが、ウラはこんなマヤカシだった。
極めて大事な国民が知るべき事を報道していない。大手メディアも親米ポチだ。
民族派右翼、さすが。
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ja.wikipedia.org
(写真:コールドベイ基地-ウィキペディアより)
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「ドーナツ経済」⑦ニュートンとリンゴの成長
ドーナツ経済のつづきです。
ケイト氏、「システムに精通する」の章でニュートンを登場させている。
1666年、若き科学者だっがニュートンは、母親の家の庭に座っていたとき、木からリンゴが落ちるのを見て驚いた。
リンゴは、なぜいつも、横や上でなく、下に向かうのか?
そう思いつく事がスゴイことで、そこからニュートンは重力、万有引力の法則を考え発見した。
そこでケイト氏、「もし、若きニュートンが-----リンゴが落ちる前に---リンゴの成長に驚いていたら、どうなっていただろうか」?と考える。この発想も面白い。
「木と蜂、太陽と葉、根と雨、花と種のあいだの刻々と変わる見事な相互作用に驚いていたら」?、と。
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これまでの経済学者が、ニュートンの運動法則をまねて、数学的な機械システム的な「市場」経済学をつくり、現在も支配的になっていることを批判している。格差と貧困の拡大、なにより地球環境の破壊…‥‥を起こす要因となっている経済学を。
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人類が滅亡の危機に瀕する21世紀の時代に求められる経済学は、ローカルもグローバルも、分配的で環境再生的なものに変えることに、自分たちの知見を総動員すること。
「ニュートンが現代に生きていたら、きっとリンゴを片手にこの課題に取り組んでいただろう」とケイト氏は結ぶ。
「ドーナツ経済」⑥「つつき、ネットワーク」
ドーナツ経済のつづきです。
ケイト氏、「21世紀の経済学者は、~、社会や環境に関する調整を真っ先に市場にゆだねようとするのではなく、社会の中でどういうダイナミックな相互関係が成り立っているか問うことから始めるべきだ」とし、「つつき、ネットワーク、規範を利用する」を提起する。社会を指で、ちょっと「つつく」と、効果や如何に?…。
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デンマークの運動家ペレ・ハンセンが学生と行った社会実験が面白い。
「コペンハーゲンの街に出て、通行人にお菓子を配り、その包み紙が路上やゴミ箱や、他人の自転車かごに、どれぐらい捨てられるかを調べた。そして次に、路上に緑色のペンキで足跡を描いて、ごみを持った人をゴミ箱に誘導するようにしたところ、ポイ捨てが46%減った」という。
「これならば罰金、報奨金(市場)なしで、ルールの尊守を促せる。この緑色の足跡は、もとからある社会規範を芸術的に目立たせたものだ」と、、なるほどなるほど。人間というのは、そんなモラルをもっている、いや~納得。
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次にネットワーク効果の事例。
2011年、ブラジルの元大統領ルラ・ダ・シルバァが咽頭がんだと公表し、タバコが原因だったと思うと述べた。
その結果、グーグルでは禁煙の仕方の検索が急増した。その検索数は、「喫煙でデー」をはるかにうわまった。
他にも、2009年、英国のテレビ番組のスター、J・グッディが子宮頸がんであることを明かすと、検診の予約者が43%増えたという。
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こんな例も米国の調査も面白い。
ガソリンスタンドで「無料タイヤ点検」の看板を掲げて、客寄せを行った。その際、タイヤ点検を勧める理由として、金銭面、安全面、環境面のいずれかの理由を添えた。
「お財布が気になる? それなら、当店でどうぞ無料のタイヤ点検を!」
「安全面がが気になる? それなら、当店でどうぞ無料のタイヤ点検を!」
「環境問題が気になる? それなら、当店でどうぞ無料のタイヤ点検を!」
さてさて、一番、お客を増やせたのはどれか?
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結果は、「環境問題が気になる?」だったそうです。環境活動家としては嬉しいですね。
その社会の状況にもよるでしょうけど、その社会の人々が持っている価値観に働きかければ、かなりの行動が引き出せるということです。良い話です。