サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「2084年報告書」 地球温暖化の口述記録

 「2084年報告書」 地球温暖化の口述記録(ジェームズ・ローレンス・パウエル著-国書刊行会を読んています。
 これは、おもしろい構成になっていいます。
 今から62年後、私の孫らが今の私の齢ぐらいになった2084年に、科学者や政治家などに口述してもらった内容を小説にしています。本を買ったアマゾンから引用すれば、
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なぜ温暖化を阻止できなかったのか。
アメリカの地質学者が描く悪夢の2084年。
時は2084年。すでに世界は深刻な気候温暖化で危機に直面している。
21世紀初めの10年、20年間には深刻な影響が明らかだったのに、政治家や化石燃料推進派は科学的根拠を否定し続け、科学者の警告を握りつぶした。
2050年以降世界各地で未曽有の事態が進行し、2084年には人類は生存の危機に瀕している──
主人公の歴史記録の研究者(2012年生)が、なぜ温暖化を阻止できなかったのかという疑問を念頭に、世界各地の記者や学者の歴史証言を取材して執筆する形で綴られるディストピアSF小説
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とあります。
 未来から、今を問うています。

放置竹林 整理

 管理委託された放置竹林を整理中。
 少しづつ竹を切って、少しづつ隙間をつくっています。
 竹はかなり長いので、処理がたいへん。
 小さなタケノコが出ており、10本ほど取ってきました。
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 カミさんが米ヌカでアク抜きするのですが、小さな虫が入っているとのことで、虫を仕分け中。 
 私は、一緒に煮炊きすれば、と言ったのですが、懸命に選り分けています。
  文句を言いながら‥‥ 


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 でも味は、まずまず、おいしいです。

資本論の中の未来社会論②

 昨日の続きです。
 原子力問題(P88)については違和感があります。
 現状の原発は危険性やコストの観点から廃止の立場ですが、いつの日か「安全の保障された新たな方法で人類が核エネルギーを利用できる時代にも到達できるでしょう」とし、「科学的研究に取り組むことが、未来社会の大方向となる」は、私としては極めて違和感を覚えます。
 今でも、未来でも、研究したい人は研究するでしょう。それをあえて今、積極的な意味の研究として、唱える必要があるのでしょうか?
 軍事の副産物だけが問題ではなく、放射能がらみの原子核をいじる事の危険性があるわけで、いま語るべきは自然エネの強調でしょう。
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 地球温暖化問題(P54)の視点も私には、ちょっといただけません。 
「『利潤第一』がうみだした地球温暖化の危機」の部分の、「『地球温暖化』はまさに資本主義そのものがひきおこした人類社会の危機です。この危機を解決する力を発揮できるかどうか、それは、資本主義が21世紀に生き残る資格があるかどうかが問われる問題だ‥」の部分、これも理解しがたい。
 地球温暖化問題を資本主義が解決できないならば、そのあとに社会主義未来社会が解決します、というような悠長な事態ではありません。主体的に解決の方向を示すことこそ「マルクス主義」だと思うのです。
 IPCCの第5次報告書を紹介しているように、科学者の多くは、人類の絶滅を真剣に危惧しています。現状認識として、このまま進めば人類は、気候災害、気候戦争、水・食料危機に襲われ、膨大な気候難民が生まれ、生物多様性の消失、生物種の絶滅とともに絶滅しかねない事態に追い込まれます。資本主義が終わる前に人類が終わりかねない、今、そんな危機的な分岐点に差し掛かっています。
 未来社会を描くなら、ここで持続可能な未来の社会像を示してもらいたい。
 現在進行中の地球環境の危機、この10年20年が極めて大事な近未来、さらに今世紀末、来世紀の人類と自然との関係を示してほしいと思います。
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 不破さんは(P138)資本主義から共産主義への過渡期についてのマルクス研究を紹介しています。
 マルクスは、パリ・コミューンを軍によって弾圧、倒したフランス政府の暴挙を告発するためインタナショナルの声明を発表しました。
 その部分が左の部分なのですが、環境派から見ると、そのなかの「環境と人間を作り変える一連の歴史的過程」が気になってしまいます。
 未来社会への変革・過渡期が長期に渡る意味なのでしょうが、ここの環境とは、自然のことではないか? と期待するのですが‥‥どうでしょう。
 どなたか解説できる方がおられれば、お願いしたいものです。

資本論の中の未来社会論①

 不破哲三さんの「資本論の中の未来社会論」を読んだ。
 前に部分的には読んでいたけど、今回、あらためて読んでみた。
 さすがにマルクスエンゲルスを読み込んでいる不破さんらしく、マルクスの著作や手紙のどこに何が書いてあるか理解していて、未来社会論に関係ある部分を引き出して分かりやすくまとめてある。
 下は資本論に書いてあるマルクスの文章で、労働を、自然と人間の「物質代謝」と捉えていることが重要だと感じる。
 これは、自由についての指摘なのだけれど、現在の環境問題の観点から考えるといろいろ見えてくる。
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 結合された生産者たちが、       →資本に支配されない共同の
 自然に支配されるのではなく、同時に
 自然との物質代謝を合理的に規制し、  →自然に配慮した
 共同の管理のもとにおき、       →資本ではなく協働者の
 最小の力の支出で         →資源も →労働も最小で
 人間性にもっともふさわしい、   
 もっとも適合した諸条件で、    →人間性に合う
 物質代謝を行うこと。       →労働を行う
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 という風に解釈したいけど、あっているかな?
 だた環境負荷から考えると「物質代謝」は、労働だけでなく、買い物や旅行やら消費活動やら人間の活動全体に広げる必要があると思う。
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. (物資代謝は生物学上の言葉で、生命体が外界から栄養物質をとりこみ、体の中で変化させて、自分の構成物質やエネルギーを作り出し、不要な部分を排出すること。マルクスは労働をこれにたとえた)
 

ウクライナ戦争以後の世界と日本――新・安全保障論 特別座談会

 集英社新書プラスの「ウクライナ戦争以後の世界と日本――新・安全保障論
特別座談会」-- 柳澤協二×伊勢﨑賢治×加藤朗×林吉永--は、たいへん勉強になった。
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shinsho-plus.shueisha.co.jp
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  特に読んでほしいのは、伊勢崎賢治さんの話。
 伊勢崎さんは昨年末、ノルウェーオスロ国際平和研究所主催の研究会が開かれ世界中の研修者が集められ参加、ロシアの研究者も来ていたそうです。
 会議は、ロシアが4月から軍を移動させ、ウクライナ周辺に10万以上の兵力を集中させていた頃で、「ロシア問題」がテーマだったそうです。
 突然始まったようにみえる2月24日のウクライナ侵攻も、会議の大方の意見は、米中間選挙までにプーチンは実行するだろうとの議論だったそうです。
 会議の3ヵ月ほど前に、アフガンからの米軍・NATO軍の見苦しい撤退騒動がありました。あんな長い戦争のあとの厭戦気分の中では、自国軍兵を送りこむNATOの介入はないだろうとプーチンは判断し、侵攻するだろうと予測。なるほど。(写真は熊本での伊勢崎さんの講演)
 米国のイラク侵略、米・NATOのアフガン侵略をプーチンは見ていてとの事だ。
 バッテン真似すっといかんバイ、プーチンウクライナ国民をイラクやアフガン住民のようにしたらイカンでしょうが。
 今回のウクライナ戦争に関して、米軍の中東への武力侵略の話をする軍事評論者はほとんどいない。また、日本のアジア侵略を思い起こさせる話もない。これらは、プーチンから見れば西側サイドという話になるだろう。
 西側でも東側でもない。国連憲章の立場こそ大事、共産党の志位さんの立場こそ重要だ。
www.jcp.or.jp
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 私は、憲法を守り、為政者に実行させる立場なのですが、その内容については、若い頃に習った憲法論にとらわれず、幅広い情報で判断しようとしている人間です。
 上記の座談会は平和を求めつつも、歴史も外交も安全保障も踏まえた論議だと思います。
 ウクライナ問題で、当局サイドの軍事専門家といえども、その主張にいろいろと理解したり考えさせられたりる事も多い。学びたい。