サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「中国は民主主義に向かう」?か

f:id:adayasu:20200824144024j:plain:right 「中国は民主主義に向かう」という、「エーッ?」と思えるタイトルの本を読んだ。
 書いた人は、当時の中国共産党の幹部学者の愈可平(ゆ・かへい)さん。
 2009年出版なので書いている時期は今から10年以上前、胡錦涛政権の頃だ。
 中国共産党中央翻訳局副局長だったので、それなりの人だ。
 愈氏、こんなことを紹介している。
 「ある記者がエンゲルスの晩年に、あなたはマルクス主義の最も基本的な思想は何だとお考えですか、と質問した。エンゲルスは、『共産党宣言』のなかにある『各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件となる』として、マルクスエンゲルスは、人間の尊厳、自由、平等という人類の基本的な政治価値、個性が十分に解放された『自由人の連合体』を最高の政治的理想と明確にみていたという。
 毛沢東時代から、鄧小平時代をへて、中国が人治から法治へ、地方自治的な方向へ、市民社会へなど、社会主義市場経済制度を土台した政治・社会の流れを叙述している。
 もっとも愈氏も、中国共産党の国家・社会への指導性を前提としており、本来の民主主義とは根本的に違う。
 そのうえで、胡錦涛政権時代に、人権や民主義を重視していた党の学者幹部がいたことは注目すべきと思った。
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 最近(2016動画)年の発言も、習近平政権のもとでは、相当に覚悟が必要な勇気ある発言もしている。
 米国の民主主義だって人権を標ぼうしているが、内実は貧富の格差が極端なまで拡大し、人種差別も残っているし、トランプみたいなのを選ぶ「民主」主義の国だ。
 またイラク・アフガンなど他国への武力介入・脅し、戦争は日常的で、他国に対しては主権侵害を歴史の特徴としている。
 中国もアメリカも、どっちもどっちと言う事ではなく、真に民主主義を実行し、人権や環境を大切にしている国や地域は多数あり、ここに学ぶべきものがある。
 経済大国・技術大国の一党独裁国家で人権や民主主義の未分化の中国の分析はこれから極めて重要と思える。マルクス主義でその辺の分析は薄弱と思う。誰でもいいので、どなたか分析、期待したい。