サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

生物のサイズとエネルギー

 ちょっと前の「生物学的文明論」(本川達雄著)のつづきです。
 生物学の立場からわかりやすく、現代文明を捉えていておもしろい。
 「生物と水の関係」「生物の形を意味」「生物のデザインと技術」など、生物と人間が作りだすモノとは意味合いが違うと言うお話です。
 で、「生物のサイズとエネルギー」が面白かったので紹介します。
 一番小さな生物は直径が1万分の3ミリのマイコプラズマだそうで、最大の動物はシロナガスクジラで体長30メートル(植物はセイタカユーカリで150メートル)。長さにして1億倍、体重では1兆倍の更に10億倍だそうです。
 それで生物のスケールの意味合い、長さ、表面積、体積を考えると下の表のようになるそうです。体積が増えても表面積はあまり増えず長さは更に増えない。 
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 これがエネルギーの消費になると、体重が10倍になるとエネルギー消費・基礎代謝率は5.6倍にしかならない。
 変温動物の方が私たち恒温動物よりもエネルギーを使わず、基礎代謝は1/30のだそうです。
 恒温動物の方が四六時中動き回っているのでエネルギーを使い、平均で変温動物の15倍もある。
 で、これが食糧問題に関係してくる。
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 10トンの草を総重量1トンの動物に食べさせる事でできる肉の量の比較です。
  できる肉はどれも200キログラム。
 牛なら体重500キロの2頭に14ヶ月かかる。
 ウサギなら2キロ500匹で3ヶ月だそうです。牛よりもずいぶん早い。
 イナゴなら100万匹で9ヶ月かかって200万匹、変温動物の10倍の2000キログラムの肉になるそうです。草10トンの2割2トンが肉になるほど高率がよい。
 なので、イナゴを食えとは言わないけど、牛肉ステーキなどよりも変温動物、魚などの方が肉生産の効率がよい、と筆者の本川達雄氏。なるほど。