サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

民主主義の後退は、選挙によって始まる

f:id:adayasu:20190726182727j:plain:w340:left   参院選挙の結果について、新聞記事や論壇など、いろいろ読んでみて、今のところ一番、ピタリきているのは「毎日」7/24の吉田徹北大教授の長期的な考察だ。少し触れてみたい。
今日の民主主義の後退は、選挙によって始まるのだ」、という言葉が紹介されている。常識からすれば驚く言葉だが、私も何となくそんなイヤな予感がある。
 だれが言った事かというと、「民主主義の死に方」を書いたレビツキーとジブラットで、民主主義瓦解の3つの共通項を指摘している。
①法執行機関や統計局、中央銀行といった中立機関の機能を、とりわけ人事権を行使いて、党派化すること。
 これは見事に安倍政権にあてはまる。日銀総裁に黒田会長、NHK会長に籾井氏の起用はあからさまだったし、官邸が省庁の幹部人事を握ったことによる、モリ・カケ、統計など、隠ぺい、改ざんは普通の事となった。
②メディアへの圧力や文化人を巻き込み、反対勢力をけん制
 女性誌「Vivi」誌上での自民党キャンペーン、TOKIO吉本新喜劇芸人との会合はSNSで頻繁に発信。特定メディア幹部との選択的会食などなど。日本の報道自由度ランキングは67位に後退している。その事を、知る権利の主体である主権者・国民が、主要メディアで報道されないからか知らないですましている。
③政権が有利になるようなルールの変更、とりわけ選挙制度の改編
 合区による自民現職救済策の「特定枠」も導入された。与党有利の7条解散・総選挙+小刻み国政選挙の手法、などなど安倍政権は国政6連勝中
 加えて、内外の危機をあおり、求心力を高める
 改元「令和」過剰宣伝、サミットの利用、17年は国会は開かず、北朝鮮の脅威・国難突破-解散・総選挙、韓国に対する貿易制限で「反韓」世論演出の内閣支持率アップなどなど。
 吉田氏は、世界的な民主主義の退潮と重ね合わせ、安倍政権下の日本民主主義の長期的退潮傾向を、低投票率だった今回の参院選を象徴的に捉えながら鋭く指摘している