サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

特攻生んだ日本社会は

 以前、「不死身の特攻兵」の本を紹介したことがありました。 過去ブログ
 ベストセラーになっているようです。発売当初は、歴史好きの人が、その次にサラリーマンが、さらに女性が買うようになっているとか。
 8月23日「朝日」に著者の鴻池尚史さんのインタビューが載っていました。今の日本に通じる大事な視点ですので紹介します。
 特攻隊に「不死身」とは、さすが演出家の面白い表現です。
 9回出撃して9回とも死なずに帰ってきた。逃げ回っていたわけではなく、爆弾を落として敵の船を沈めたりして戦いながら。(写真は爆撃機の先端に起爆装置を付けた特攻機
 特攻隊員・佐々木友次さんは、なぜ?生きて帰ってきた?
 「空を飛ぶことが好きだったから…」「大好きな飛行機を壊すことにたえらえなかった…」と解説する鴻池さん。死ぬことの同調圧力よりも、「好きな事」が勝ったと。でも勇気なしにはできない事です。
 8割9割は、志願と言う名の強制、命令だった特攻。命令した側は、「国のために散った若者を馬鹿にしないで欲しい」という。巧妙な言い訳がまかり通っている。
 今は、特攻のような志願強制はないけど、
 会社で、「仕事をするために残業していたのがいつの間にか、上司が残っているから帰れないとか、定時で帰ると仕事をしていないように思われるとか、残業自体が目的になってしまっている」…よくある話です。場合によっては残業代が払われなくても。
 でも過労死、過労自殺に追い込まれれる事態は、現代の特攻と同じようなことかもしれません。

 この本が売れているのは、「村落共同体」的な「同調圧力」から、今も逃れられない「民主主義国」の日本社会の国民の状態に共通点があるからでしょう。
日体大レスリング、ボクシング、体操など、体育系の「同調圧力」問題は、明らかになった以後は、メディアも盛んに報道し、社会的批判にさらされ健全性を発揮しつつあります。
 しかし、最強権力の安倍首相に対しては、なんでもかんでも許していまっている。森友、加計問題など、誰もがオカシイと思っていても、激しい抗議は一部に限られ、多くの国民は傍観し、許している状態。逆に、生活保護のごまかしなど、ほんの一部の不正に対しては、容赦ない批判が加えられる。お隣の韓国国民とは大違い。
 これまで沖縄では、米軍基地の強い押しつけが行われ、強制に近い「同調圧力」が働いている。沖縄と日本の行方を大きく左右する知事選が始まった。
 まわりの人たちと仲良くする豊かで平和な沖縄が好きなら、本当に好きなら、「同調圧力」を跳ね返してほしい。
 その出発点は、本当の事を知ること。本当の事が隊員や国民に知られていたら、特攻隊なんてありえなかった。