サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

星条旗国体

菊と星条旗 白井聡著をやっと読み終えた。鋭い指摘と思いつつ、こんなに難解な書き方をせんでもいいのに、、間のいくつかの章はカットして8章と終章が中心でいいのにと思いながら読んだ。
 簡単に言えば、戦前の「天皇制」なる「国体」は、戦後、「アメリ天皇制」に置き換わった「国体」として存続しているというもの。
 白井氏は、戦前の国体を明治時代の「天皇の国民」、大正時代の「天皇なき国民」、昭和前期は「国民の天皇」として定義した。
 戦後の国体は天皇に代わり、「アメリカの日本」(対米従属体制の形成期)、「アメリカなき日本」(対米従属の安定期〜崩壊)、「日本のアメリカ」(対米従属の自己目的の時期)として現れると解説する。
 そして日本は、対米従属の本物の奴隷に成り下がっている。本物とは、自らが奴隷であることを否認する奴隷。
 軍事的な対米従属は、「敗戦の結果」⇒「東西対立における日本防衛」⇒「自由世界の防衛」⇒「世界の警察官のため」と変遷したように、まともな理由がなく、独立の意思を持っていない証明ということになる、と。
我々は、日本に、望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間置く」。米国が日本を従属させるうえで決定的だったJ・Fダレス国務長官のサ条約・「独立」に向けての言葉だ。
 その対日支配のキモは、「日本人の欧米人に対するコンプレックスとアジア諸民族に対するレイシズムを利用すること」だった。
 確かに、最近のネトウヨ言説の韓国、北朝鮮、中国ヘイトのウラで強者・米に従属する根性にあふれている。
 そして本質的には強者への自発的服従なので、鬼畜米英の軍国主義から一夜にしてアメリカ民主主義に衣替えが実現したように、米中の力関係が逆転すれば、中国の一党独裁に服することだってありうる話だ。
 白石氏は、1章で展開した天皇の「お言葉」の話で最後は締めくくったので興味深い。
 ただ、全体的な観点で抜けているのは、民衆、諸国民のたたかいの側面だ。どの時代でも、自由や民主主義などのたたかいがあり、積み重ねてきている。これにこそ大きく光をあてるべきだ。
 苦労しながら、今もたたかいは続いている。