サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

前川喜平−教育が「憲法の理想」を実現する−

 教育が「憲法の理想」を実現する前川喜平
「世界1月号」に載っていましたので紹介します。

 夜間中学の問いかけなんですが、結論は憲法です。
 文部官僚のトップがこんな憲法観を持っているなんて驚きでした。
 憲法の条文から考えての教育ではなく、教育の現場から考える。義務教育があるのに、それが果たされていないためのフォローとしての夜間中学の現場から教育を考える…さすがです。
 夜間中学は、山田洋二監督の映画で有名になりました。
 前川さんが概括的に紹介している夜間中学の歴史が、なるほどです。
 戦後すぐは、農業や家事手伝いの稼ぎ手として、中学校に行けない子どもも多かった。
 その頃から学校の先生たちが中心になって、家庭の事情で昼間に中学校で学べない子どもたちを集めて「夜間中学」をはじめたそうです。
 1955年頃のピーク時は、全国で89校5200人だったそうです。文部省は冷淡だったそうですが、自分たちの仕事が増えるにもかかわらず先生たちがはじめたというのがいいですね。前文科次官が言うので本当でしょう。
 その後、被差別部落の人たち、在日コリアンの人たち、更には韓国や中国から引き揚げ者、中国残留孤児などが夜間遊学で学んだようです。
 最近では、不登校の子どもたち、外国人やその子ども、学び直しの方たちだそうです。
 やっぱり運動が大事、それが政治や社会を動かしている。いま政治が悪いのは運動が弱いからでしょう。
 前川さんは、基本的人権の中の「学習権」を強調し、 ユネスコの「学習権宣言」を紹介します。
 「学習権は、人間の生存にとって不可欠な手段である。もし、世界の人々が、食糧の生産やその他の基本的な人間の欲求が満たされることを望むならば、世界の人々は学習権を持たなければならない」
 つまり、憲法26条が保障する「学習権」は、人間が人間として尊厳ある人生を送るためには学習が必要、学習することができなければ、自分の尊厳を守ることも、権利を主張することもできず、幸せを追求する事もできない、と。
 その憲法は前文で、教育について
 「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようと決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」と相互の関係を示す。
 逆に言えば、権力者は教育をゆがめて、憲法をゆがめていくということか。そう、そんな事態が進んでします。
 ですがこんな事もあります。
 自民党馳浩衆院議員が文科大臣の時に、前川さんらが中心になり、超党派議員立法としてで「教育機会確保法」ができたそうです。
 それが「夜間中学」が義務教育のセーフティネットにっているそうで、そんな関係から、前川さんもボランティアとして夜間中学で教えているようです。あと地方公共団体の役割も書いておられます。
 この前川喜平インタビュー動画をご覧ください。馳浩前文科大臣もでてきます。非常に面白い楽しい動画です ☚必見。