サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

永続敗戦論

 2013年3月の初版ですから、知ってはいたんですが、もっと早く読んでおくべき本でした。永続敗戦論。

 「私らは侮辱の中で生きている」が書き出しです。
 2012年7月、代々木公園−「さよなら原発10万人集会」での大江健三郎さんが紹介した言葉。
 東電が引き起こした過酷な原発事故、事故の原因究明も事態の収拾できず、責任も明確でないのに、当時の野田民主党政権原発の再稼働を急いだからだ。

 信じ切っているわけではない。だから多くの人が官邸前や公園にあつまった。
 しかし時とともに「おかしい、けど…」
「なんとなく、ごまかされている」程度の認識に続いて
 「あきらめ」の思いが支配的になっていく…。
「侮辱されている」との認識まで到達しない。戦後、人々の思いはこの繰り返しではなかったか。
 「永続敗戦」それは戦後日本のレジュームの核心的本質であり、「敗戦の否認」を意味する。国内およびアジアに対しては敗北を否認することによって「神州不滅」の神話を維持しながら、自らを容認し支えてくれす米国に対しては盲従を続ける。敗戦を否認するがゆえに敗北が際限なく続く――それが「永続敗戦」という概念の指し示す構造である。今日、この構造は明らかな破綻に瀕している。
 と帯に書いてあった。その通りと思う。だから「敗戦」終戦と置き換え、受け入れさせられている主権者・国民。
 日本において「終戦記念日」は8月15日となっている。しかし国際法で自然現象のような印象の「終戦日」というのはないと思う。
 一般に、戦争状態は、(8/14ポツダム宣言の受託をに通告−8/15責任者の天皇が国民に宣言)⇒9/2降伏文書調印・休戦協定⇒占領下⇒1951年9/8サンフランシスコ平和条約の締結で戦争が終結する。
 日本では安保条約他を結んで事実上の占領継続状態で米軍基地を置いている。冷戦を経て米軍は、世界戦略上、前方展開し、世界各地に常時武力行使できる体制をしいている。実際にベトナムイラク戦争などで、在日米軍基地は重要な役割をはたした。
 この支配構造からどう抜け出すか? 考えるために読んでほしい一冊です。
 (しかし白井聡さん、誰にでも、わかりやすく書いた方が…)