サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

自衛隊の転機−柳澤協二著

 先日、柳澤協二さんの講演を聞いた時に買ってサインしてもらった「自衛隊の転機」−政治と軍事の矛盾を問う、を読みました。
 この人、自分に向き合う誠実な人、と思います。
 防衛官僚として、長らく戦後の安全保障に関わった自分の体験を振り返りる。
 イラク自衛隊派遣を自分なりに総括する。
 「防衛官僚は、自衛隊と政治のみならず、自衛隊と国民をつなぐ結節点である」と語り、安倍政権が国民の理解なしに、集団的自衛権や安保法制を強行することに強い疑問を呈する。
 冨澤暉元陸幕長、伊勢崎賢治元国連PKO幹部の対談での最近のPKO活動の話が興味深い。

自衛隊の転機 政治と軍事の矛盾を問う (NHK出版新書)

自衛隊の転機 政治と軍事の矛盾を問う (NHK出版新書)

 最近のPKOは、停戦合意下の平和維持活動ではなく、住民保護のために、PKO自身が交戦主体になるようだ。
 相手の武装勢力は住民と一体化している場合もあり、どこから攻撃されるかわからず極めて危険。しかも最近は、先進国はPKOに出さず途上国や周辺国が多いらしい。日本はなぜか、自衛隊員を危険な方向に出したがる。
 しかも戦争を想定していない憲法のため軍法がなく、派遣される自衛隊員の身分が軍人として保障されない。
 国際法ジュネーブ条約の捕虜としての保護は受けられない。
 言わば、山賊とか民間軍事会社員としての扱いしか受けられない。
 自衛隊員が間違って、民間人を殺傷した場合は、日本の国内法で裁くしかなく、殺人罪に問われかねない。
 キューバグアンタナモ基地では、タリバンアルカイダのメンバーを拘束して、拷問している。これは国家の保護を受ける捕虜としての扱いをしていないからだ。
 新しい法律の下で、不安定で危険状態になっている南スーダンに送られる自衛隊員。これではたまったものではない。
 さらに相手国住民から恨みを買うことになれば、フランスようなテロ攻撃をうける可能性もある。