サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

ローカルの時代-「幸せの経済学」①

 近所のYさんから聞いていた「いよいよローカルの時代」(大月書店)を最近やっと読みました。
 私のブログの「サスティナビリティ」(持続可能)のタイトルにふさわしい内容です。内容を随時紹介したいと思います。
 この本は、ヘレナ・ノーバーグ・ホッジさん(言語学者)と辻信一さん(文化人類学者・環境運動家)の対談です。
 ヘレナさんは、1975年にインドのヒマラヤのラダックを訪れ、そこで目にし耳にした、村人の幸福そうな生活、そしてその後の開発のなかで、変わっていった村人たちの変化を「ラダック 懐かしい未来」の本に表しています。
 ヘレナが最初に訪れたラダック。「村人たちは皆、自分たちが世界の中心にいると信じ、自分たちは貧しいとか、遅れているとか思っていなかった。
 人々の内側から沸き起こってくる喜び、満ち足りた幸福感があった」のに、「今では辺境に住む、貧しくて時代遅れで教育のない馬鹿だと思い込まされてしまい、人々から、かつての輝きは失われてしまった」と書いている。
 そして「開発の中で、強大な科学技術の力のに組み込まれ、お金を中心としたシステムのにおかれた結果、自尊心を失い、辺境に押し込まれていると思い、劣等感に苦しんでいる」と。
 先進国の人々が、苛烈な競争の中で、自尊心と幸福感を喪失し、さいなまれている状態と同じものだ。
 ここには、ラダックやブータンのような国が、開発と旧来の自然・伝統とどう折り合いをつけていくのか?が問われるし、
 開発を遂げた先進国が、かつてのラダックやブータンの人々と同じような助け合いや幸福感をいかに取り戻す社会に移行するのか?が問われている。