社長の寿命は、従業員よりも長い
選択の自由度に対する認識が、健康に大きな影響を及ぼす研究もあるらしい。(ロンドン大学・M・マーモット教授)
会社の社長の平均寿命は従業員の平均寿命より長いらしい。経営をきりもりするストレスはあるものの、選択の幅がひろいと言う事が命をのばす理由らしい。ふむふむ。
老人ホーム−行き届いた世話と選択権
米国のエレン・ランガーとジュディス・ローディン氏が65才から90才までの高齢者に、自己決定権の認識を操作する実験を行った。
1つのグループには、世話係がこんなふうに伝えた。
一人ひとりに鉢植えを配りますが、世話は看護師がしてくれる。映画を木曜と金曜に上映するので、どちらか見られるように予定を組んで連絡する。他の階の人とおしゃべりしたり、読書、ラジオ、テレビなど楽しむことができると説明した。
そして、「この施設を、みなさんが誇りに思い、幸せを感じられるような家にするのが私たちの務めです。みなさんのお世話をするために、努力して参ります」と職員はつけ加えた。
これは当時(76年)の介護施設の標準的な方針であり、現在でもそんな施設が多いと思う。メッセージとしては、「入居者には、ある程度の自由は保障されているが、かれらの健康は有能な職員が責任を持って管理する」と言うものだった。
もう一方のグループ。世話係は、好きな鉢植えを1人1人に選ばせて、自分で世話するように伝えた。映画はどちらの日に見てもいいとし、他の人とのおしゃべりも自由と言った。そして、「この新しい家を楽しい場所にできるかどうかは、入居者次第です」と強調し、「みなさんの人生ですよ。どんな人生にするかは、みなさんの次第です」と伝えた。
2つのグループのメッセージはちがったが、同じように扱い同じように世話した。
3週間後の調査で、選択の大きい入居者は、そうでない入居者に比べて、満足度が高く、生き生きして、他の入居者との交流も盛んだった。
「選択権なし」の集団では、入所者の70%以上に、身体的な健康の悪化が見られた。これに対し、「選択権あり」の入居者は、90%以上の入居者の健康が改善した。6ヶ月後の調査では、大きな自由度を与えられた、と言うより自由が大きいと言う認識を与えられえた入居者の方の死亡率が低かった。
「だれもが本能的に必要とする、人生に対する決定権への渇望」とS・アイエンガーは言う。なるほど。
さて、わたしたちに当てはめて考えてみると。与えられる選択肢は、実際は、多くない場合が多い。どうすればいいか??。
第1のグループの属した場合。世話係がさっきと同じような対応を求めた場合、入居者である私たちこそが「入所者が主人公」の立場で、「自由な選択」を施設管理者に求めることだろう。
そのために自分たちの認識を発展させることだろう。そのためのコミュニケーションが大切になってくると思う。私たちの社会は、管理されている。しかし、より管理されいてるのは、認識だろうし、認識を高め共有しあうコミュニケーションと思える。