サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

グローバル・インバランス-中野剛志

  大企業にモノを言おうとすると「会社が海外に出て行く」の脅しがかけられる。「法人税が高すぎるから海外に出て行く」などは、その最たるもの。
 雇用・就職難の不安が大きい中で、これが一番の殺し文句となっている。もちろん言わせるのはスポンサー、振りまくのは主要メディア。
 中野氏は、日本のデフレ脱却とグローバル・インバランス是正問題を提起している。輸出主導の日本経済がデフレを加速、賃金引下げと、格差を拡大していると主張する。
 リーマンショック前=米国の住宅バブルで、2007年まで輸出主導の景気回復が進んだ。日本は景気回復にもかかわらず、働く人の給料が下がってしまった。正規雇用を⇒非正規雇用に置き換えたままだったからだ。当然、その富は企業の内部留保として蓄積されている。
 グローバル化で各国政府が賃金引下げ競争と法人税引き下げ競争を激化させデフレが進む。その筆頭が日本という事になる。
 中野氏の図を見ると、日本の低賃金・低法人税(実際)を政治に保障してもらって、米国、EU、アジアのいずれでも貿易黒字を実現している。
 その黒字は、内需に還元されない。だから長期の不況・デフレが進行していると見る。
 そこで中野氏は、グローバル・インバランスを是正して、世界的な不況から脱却するには、貿易黒字国の日本が内需の拡大策を行うことと主張。デフレ脱却のために主に公共事業を提案する。
 私としては、おおわく賛成なのですが、公共事業は開発型ではなく、地域に密着したものに切り替えることが必要と思う。
 中野氏は、この本ではあまり主張していないが、私はさらに農林漁業や介護・医療・教育、環境など、地域に密着した雇用が生まれる内需を拡大すべきと思う。
 最大の内需拡大策は、失業・不安定雇用の労働政策をただすこと。ただ働きを厳しく取り締まり、正規雇用を増やし、最低賃金を上げることなどをやれば、デフレから脱却し、景気も回復すると思う。もちろん収入あがり景気も回復すれば税収もあがり財政の改善に向かう。
 そしてさらに、CO2削減など環境負荷の少ないサスティナビリティ社会へと進むこと、ここも大事と思う。